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東日本大震災により岩手、宮城両県で発生したがれきの広域処理では、受け入れ検討中の多くの自治体が、国の説明や配慮が不十分と感じている。政府は8月、可燃物については具体的な受け入れ調整が進んでいるとして、新たな調整は行わないと発表。検討していた自治体は「それはそれで喜ばしい」(北海道)と、がれき処理の進展を歓迎しながらも、唐突な国の方針転換に戸惑った。
 政府は3月、広域処理の必要量を401万トンと推計し、野田佳彦首相名の文書で全国の自治体に協力を要請した。その後、8月の再推計で169万トンまで減少したことを踏まえ、可燃物の新たな受け入れ先の調整は必要なくなったと判断。北海道、鳥取県などが可燃物の受け入れ検討を中断した。
 これに先立ち環境省は6月、岩手県の可燃物処理について、受け入れ調整中の自治体分も計算に入れて「めどが付きつつある」と表明した。しかし、地元住民の理解を得ようと腐心していた調整中の当該自治体は、配慮を欠く「不用意な発言」(群馬県)と反発。住民が受け入れの必要性が低下したと誤解しかねないと同省を批判した。
 さらに、宮城県が7月、可燃物受け入れを東北、関東中心の自治体と調整する考えを示した際は、同省近畿地方環境事務所が受け入れ検討中の関西の一部自治体に対し、協力要請を撤回する内容のメールを送信。事実関係の確認に追われた自治体は「(文書などで)きちんと連絡すべきだ」(兵庫県)と同省の対応に不快感を示した。
 一方、処理を開始した自治体も問題を抱える。静岡県はこれまでに、県内5市で岩手県のがれきの試験焼却を行い、うち1市が本格処理の段階まで進んだが、6月下旬以降、県内へのがれき搬入はストップ。焼却灰の処分をめぐり地元の理解獲得が難航している。
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